東京電力パワーグリッド(東電PG)は10月19日、新事業の取り組みに関するセミナーを開催した。東電PGが今月に入って新たに開始した事業は、電気の駆けつけサービスとオリジナルハウスクリーニングサービスの2つ。
電気の駆けつけは、宅内の停電や漏電といった電気に関するトラブルが起きた際、東電PGが提携先の小売り事業者の代わりに顧客の自宅に駆けつけて対応するサービス。現在、東京電力エナジーパートナーと、楽天との提携が決まっている。サービス費用は両社とも電気代に含んでおり、出張費と60分以内の作業費は無料となる。現在、宅内トラブルについては東電PGや電気工事店などが1万円程度で対応している。「停電や漏電の発生頻度こそ多くはない」(東電PG)が、同サービスを利用することで、万が一の時に出費を抑えることができる。
一方、オリジナルハウスクリーニングサービスは、イオングループで家事代行サービスを手掛けるカジタクと提携し、開発したサービス。カジタクが提供する通常のハウスクリーニングに、プラス800円(税抜)で、火災発生防止のためのコンセント清掃と、電気代節約診断を付加する。診断サービスは、顧客の家電製品の利用状況をヒアリングし、節約につながる効率的な家電製品の利用方法を提案する。年間で最大1万円ほどの節約が見込めるという。すでに東電管内でサービスの提供を開始している。
東電PGが積極的に新事業に取り組む背景には、劇変する経営環境の変化が挙げられる。人口減少に伴う国内電力需要の低迷や、再エネの普及拡大や蓄電池などの技術革新によるエネルギー利用・供給形態の変化、また政府主導のもと進められる電力システム改革によって、「従来の託送事業だけでは収益確保が難しくなる。今後は託送以外の新たなサービス提供が必要となる」(東電PGの経営企画室江口高充副室長)。
東電PGは今後、スマートメーターから得られる情報を活かした新サービスや、海外への事業展開も視野に入れている。