総投資額は2,000億円にもおよぶ
宇久島プロジェクトはもともと、ドイツのプロジェクト開発会社であるフォトボルト・デベロップメント・パートナーズが、2013年4月から進めてきたもの。
離島である宇久島にとっても、島内にある農地に支柱を立て、上部空間に太陽電池を載せる営農型太陽光発電や、耕作放棄地などの活用によって、経済活性化が図れ、人口減少に悩む島の再生契機になる期待されてきた。
2014年6月には、フォトボルト社を中心に、九電工と京セラ、みずほ銀行、オリックスの5社が協力し、巨大な営農型発電所を推進することで基本合意をする。
ところが、土地の賃貸交渉や、農業委員会などの許認可、さらに送電のために、宇久島と本土との間に約64kmもの海底ケーブルの敷設を巡って、漁業関係者との調整も難航。
2016年にオリックスが離脱すると、プロジェクトの存続すら危ぶまれたきた
しかし、今回、買取り価格40円/kWhの売電権利などを持つフォトボルト社が、2017年12月に設立したSPC(特別目的会社)「宇久島みらいエネルギーホールディングス」に権利を移転することで合意。新たな計画として再始動することになったという。
検討中の新スキームは、島内の農地や耕作放棄地などを借り受け、先の「宇久島みらいエネルギーホールディングス」の子会社として新たに設立したSPC「宇久島みらいエネルギー」が発電事業を行うというもの。
発電規模は日本最大となる480MW、そのほとんどが営農型になる模様だ。全て京セラ製の多結晶シリコン型モジュールを使用し、約165万枚を敷き詰める。総投資額は当初計画より500億円程度膨れ、2,000億円程度になるという。
新局面に入ったことを受け、発電事業を担うSPC「宇久島みらいエネルギー」には、九電工や京セラに加え、タイで太陽光発電所などを開発するSPCG Public Company Limitedはじめ、東京センチュリー、古河電気工業、坪井工業が新たに出資。また、プロジェクトファイナンス組成に向け、みずほ銀行とともに十八銀行もメンバーに加わった。
2018年度中の着工を目指す九電工や京セラたち。480MWという日本最大の太陽光発電所が稼働するのか。注目が集まっている。