16GW、約27万件の認定失効に続き、未稼働IDの一掃と、国民負担の抑制に向け、2018年度から全電源に運転開始期限などを導入するFIT認定の運用厳格化が決まった。確実に導入されるプロジェクトのみ認定する、FIT運用の見直しに舵をきる。
1月24日に開催された「第2回再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」。土地や設備の確保、運転開始期限など規制のリバランスを巡る議論が交わされ、2018年度から全電源に「運転開始期限」「出力増加時の価格変更」「設備の設置場所の使用権原証明」の導入が決定した。
認定欲しさに駆け込みが急増、ところが、熟度が低いプロジェクトが大量に紛れ込んだため、導入量と認定量の乖離が発生。いつまで経っても、導入されない未稼働認定に苦しむ太陽光発電には、いち早く運開期限3年が設定されていた。
しかし、認定急増は繰り返され、一般木質バイオマスや小型風力でも発生する。未稼働IDの一掃と、国民負担の抑制に向け、2017年末の調達価格等算定委員会は、木質バイオの厳格化に動く。既存認定は発電設備の発注期限「2年」、新規認定には運開期限「4年」が導入される。
繰り返される認定急増に対処するため、経済産業省・資源エネルギー庁は、太陽光発電で先行導入された運用ルールを全電源に適用するという、FIT認定の運用そのものにメスを入れる。
その一つが運転開始期限の導入だった。電源それぞれの運開期限は、風力が「4年」。ただし、環境アセスが必要な案件はプラス4年の「8年」に。中小水力は「7年」。地熱は「4年」だが、風力同様、環境アセスが必要な案件はプラス4年の「8年」が設定される。
近い将来、FIT価格の決定時期が稼働日に変わる!?
各電源の運開期限に関しては、2017年末にかけ、各電源団体に事前ヒアリングしていたこともあり、波乱なく導入が決まる。
しかし、「そもそも諸外国では、運転開始時にFIT価格が決定するケースが多いが、日本はファイナンスの実態は事業の予見可能性を重視し、認定時にFIT価格が決定する仕組み」だと資源エネルギー庁は指摘。
「FIT価格の決定時期を稼働日に変更しない限り、認定急増は繰り返される」と示唆したわけだ。ある関係者は、「近い将来、FIT価格の決定時期を稼働日に変えるための地ならしだろう」と推測する。
このほか、出力増加時の価格変更についても、全ての電源に対し、運転開始前後を問わず、発電出力を増加させれば、FIT価格を最新の価格に変更させることを決定。国民負担の抑制に配慮した形だ
また、土地に関する認定手続きに関しても、全電源に登記簿謄本に加え、「土地所有者などによる賃貸または譲渡証明書」の提出を要件に盛り込む。より確度の高い案件だけ認定できるよう、FIT認定の仕組みを厳格化する。
適用は2018年度からだが、陸上風力などでは、「土地所有者による証明書の提出を巡って、混乱が起こるのでは」とすでに危機感が募っている。