「出力制御機能付きPCS(パワーコンディショナ)への切り換えが、1万件を超える50kW未満の低圧PVで進んでいない」。
九州電力は、1月30日に開催された「系統ワーキンググループ」で、出力制御の対応状況について、こう説明した。
出力制御を巡るルールは、旧ルール事業者と指定ルール事業者の2つがある。まず旧ルール下の対象は500kW以上であり、前日の16時ごろ、一般送配電がメールによって出力制御指令を発令。受令した旧ルール事業者は手動による出力制御を実施し、年間30日まで無補償というもの。
一方、指定ルールは10kW以上の全ての事業者が対象となる。そのため、出力制御のオペレーションの効率化、実効性が求められ、出力制御機能付きPCSが開発された経緯がある。
その制御法とは、出力制御機能付きPCSが、九電のスケジュール配信サーバーから制御スケジュールを取得し、それに基づき自動的に制御を実施するというもの。もちろん、出力抑制は無制限・無補償だ。
「旧ルール下で連系した太陽光発電所は320万kWにのぼり、指定ルール下での連系量も約80万kWになる」(九州電力)という。
九電では、間近に迫る出力制御を鑑み、旧ルール発電所に対する連絡訓練を2017年に5回実施。そのテスト結果は、特別高圧約50件が100%、高圧500kW以上の約2,000件が、96%(平日)、92%(休日)となり、「旧ルール事業者間との準備は整った」と九電は語る。
しかし、指定ルール下の制御対応は、1万件を超える低圧発電所で未整備という実態が浮き彫りとなる。そもそも、九電が指定電気事業者に登録された当初、出力制御機能付きPCSの市販化が間に合わず、市販化後のPCS切り換えを条件に、連系を承諾してきた経緯がある。
出力制御機能付きPCSの市販化を待ち、九電は対象事業者に切り換え依頼を開始させる。その時期は、高圧・特高が2016年9月、低圧10kW以上は、2017年5月であった。2017年12月末に設定された切り換え期限が迫る中、特高約5件、高圧350件は切換率が100%になる。ところが、低圧の切換率は24%(約3,300件)に止まる結果になる。
系統WGの委員からは、「PCSメーカーは発注対応できているのか。あるいは電工の数が不足しているのでは」と、ボトルネックに関する質問が出る。この問いに対し、九電は、「PCSメーカーの生産対応も、電工も問題なく対応できると聞いている」と答え、「そもそも、PCSメーカーに発注がされていない」と現状を語る。
九州本土での出力制御は迫り、「今春」にも起こると九電は予測する。仮に今春を制御なしで乗りきっても、「今秋」まで切り抜けられるかはわからない。それだけに、「安定供給の維持および事業者間の公平性確保の観点から、各事業者は確実に出力制御に応じていただく必要がある」とまったなしの状態だ。
九電は、2018年1月に「可及的速やかに、PCSの切り換え対応」を注意喚起するが、応じない低圧PVには、「契約解除」も実施せざるを得ない状況が近づきつつある。契約解除とは、既存の買い取り価格の権利の消失を意味する。九電域内の低圧PVたちには、発電事業者としての最低限の対応が今、求められている。