コラム

【Vol.3】絶品!でんき乗り換え術

CASE 08
SBパワー
FITでんきプラン・60A

 

 

自由化に参加し、再エネ比率の高い電力会社を応援したい

 週3〜4日都内の名門大学でフランス語を教える朝吹さんは、3月中にSBパワーのFITでんきプランを申込んだ。FITでんきプランの申込み開始が3月14日であったことを考えると、電力自由化に対する関心の高さが伺える。朝吹さんが関心を持つようになった原点は、「5年前の東日本大震災と福島第一原発の事故に大きなショックを受けた」(朝吹さん)ことにある。

 「福島のような大災害が起きた後で、原子力発電に頼るのは好ましくないと思った。とはいえ、日々の生活に追われて活動するほどのエネルギーもない。だから電力自由化は非常に良い機会だと思った」と話す。そのため、電力選びのポイントは非常に明確。電源構成における再生可能エネルギー(FIT電源)の比率だ。

 朝吹さんは主にインターネットで電力会社を探した。その中で、最も再エネ比率が高い電源構成を開示していたのが、SBパワーだった。朝吹さんは当初、「(SBパワーは57%だが)再エネ比率100%が望ましかった。うまく探せば、もっと比率の高いプランがあるかもしれない」と考えたが、「とにかく自由化に参加して再エネ比率の高い電力会社を応援すれば、今より比率が高くなっていく可能性もある」という思いから、FITでんきプランに決めた。

大手企業だからこそ生まれる安心と期待

 また、初めての乗り換えにあたり、ソフトバンクグループという大手企業であることも安心感につながったという。長年にわたって家族全員でソフトバンクのアイフォンを愛用していることもあって、馴染み深さもある。「大きい会社だからつぶれたり、やめたりする心配もない」(朝吹さん)ことが、決断を後押ししたようだ。

 ただ、期待していたのは、あくまでも再エネ100%の電気。選択肢の少なさもあり、自由化前に思い描いた姿とは、少しかい離があったようだ。「再エネ比率の高い電気をもっと選べると思っていた。ソフトバンクも、もっと力を入れてくれると期待していたが、思いを満たしてくれたとは言えない。とはいえ、電力小売りに参入した大手企業では、再エネ比率が抜きんでていた。その点は立派だと思う」と朝吹さんは語る。

 もし、今後SBパワー以上の再エネ比率を実現するプランが登場すれば、さらなる乗り換えも積極的に検討したいという。もちろん、おトクであるに越したことはないと話すが、「おトクや便利さよりもクリーンな電気を使いたい。企業としてさらに再エネへ投資するなど、そういう方向に向かってもらいたい」と、その思いは一貫している。

 

CASE 09
洸陽電機
きほんプラン

 

 

 

知人の紹介で電力を簡単乗り換え

 京都市伏見区に住む松村さんは、電力自由化に対して強い関心があったわけではない。ある〝縁〞がきっかけで、「電気の品質は変わらず、今より電気代が安くなる」ことを知り、電力の乗り換えをするに至った。

 自由化が始まる直前にはソフトバンクの携帯電話を使っているということもあり、毎週のように切り替えの案内がきた。奥さんと「一度、ソフトバンクショップに話を聞きに行った方がいいのかな」と相談していたが、「日曜日は混む」という理由もあって、結局行かず仕舞いに。そんな時、知人に紹介してもらったのが洸陽電機だった。

 洸陽電機の担当者から一通りの説明を受けたあと、「弊社のプランが一番おトクになるとは限らないので、他の会社さんも見た方がいいですよ」と言ってもらった。乗り換えにかかる事務手数料や解約手数料もかからない。電気代も今より数百円だけど、安くなる。また、「丁寧に、正直に説明してくれることに安心感を覚えた」こともあり、松村さんは乗り換えをすることにした。

 

 

電力乗り換えをきっかけに陸マイラーの仲間入り

 松村さんは奥さんと小学生の子ども2人の4人家族。3LDKの一戸建てに住んでいて、月の電気代は7000円〜1万円ほど。共働きで、平日の昼間は誰も家にいない。休日は予定によって変わるが、松村さん自身はサッカー指導で留守にすることが多い。松村さんは洸陽電機のホームページでシミュレーションし、きほんプランに入ることにした。申し込みをしたのは4月末、1か月後にはスマートメーターの交換が行われた。そして、6月6日に洸陽電機の電気に切り替わった。「自分ですることといえばWebで申し込みするだけ。あとはお任せなので簡単」。

 洸陽電機の料金プランには、電気料金に応じてJALマイルがたまる特典がついている。「せっかくなので、新しくJALカードを作った」(松村さん)。晴れて陸マイラーの仲間入りをすることに。

 ためたJALマイルは航空券に交換できたり、JALグループのツアーやホテル宿泊などに使えるクーポン、また提携先のポイントに交換することもできる。「毎月の電気代で知らない間にマイルがたまって、それで旅行に行けたら嬉しいですね」。

 電力自由化に対して、初めは関心のなかった松村さん。しかし、知人の紹介で乗り換えを行い、月々の電気代削減と、陸マイラーへの転身を同時に果たした。来年、都市ガスの自由化が始まれば「ガスの乗り換えも検討したい。ベストは洸陽電機さんの電気とセットで安くなること」と期待する。

 

 

CASE 10
イーレックス・スパーク・マーケティング
従量電灯B・30A

 

 

煩わしさ一切なし発電方法で選んで、しっかりおトクに

 「どうしても4月1日から、電力会社を乗り換えたかった」。そう話すのは鎌倉市在住の森本明さんだ。とはいえ、森本さん、「電力事業が地域独占になっていることも知らなかった」ごく普通の消費者で、決して電気に関心が高かったわけではない。

 きっかけはやはり、2011年3月11日に起こった東日本大震災と原発事故だった。当時、東京電力は計画停電を実施したが、「どの駅でも照明を落とし、薄暗くなったが、これくらいでちょうどいい。電気を無駄に使いすぎだったのでは」と実感する。

 そしてこんな体験も。ある雨の日、検針メーターに水滴がついたせいで、検針ができず、東京電力から「翌月の電気料金を2か月分、請求させてもらう」という旨の連絡を受ける。

 電気使用量自体、毎月、変わるものだし、燃料費調整額のように毎月、単価が変わるものもある。不審に思った森本さんは、東京電力に問い合わせるも、「実際の金額とズレが生じてしまうが、測定できなかった時は、按分するしかない」という答えしか返ってこなかった。

 「自分が支払っている電気代の根拠もわからないなんて」。森本さんは、原発や総括原価方式など、自ら電気について勉強をし始める。そして、電力事業の構造を知れば知るほど、「原発だけは事故が起こらないと思っていた自分が愚かだった」「もっと安全な発電に変えていかないと」という思いが高まる。

 自分にできることを、とまずは節電を実施。それまで40A契約だったアンペアを30Aに見直し、部屋の電気をこまめに消す、エアコンの設定温度を高めにするといった些細なことを始めただけで、電気使用量が「前年同月比50%減」もの節電に成功する。

 「30Aにしたからといって、ブレーカーが落ちることもなく、苦痛も不便さもなかった」。何より「50%減」と書かれた検針票を見るたびに嬉しくなった。

 

 

家族構成は年齢で変わるおトクの追求は卒業

 ちょっとした節電を実施し始めて3年ほど経った2015年ごろ。友人が神奈川県内で電力会社を立ち上げた。聞けば、「2016年4月から、電力の自由化が始まり、一般家庭も電力会社を選ぶことができる」という。「原子力発電に頼らない、電力会社を選びたいな」。さらに友人の会社が目指す地産地消という趣旨にも共感でき、早速、契約の約束を。

 ところが、自由化が迫った今年の2月ごろ。友人から「一般家庭への電力販売が秋にずれ込む」という連絡が入る。「お金には変えられない価値で電力会社を選ぶ」と決めていた森本さんの電力探しは、再び振り出しに戻ることに。

 そんなある日、知人からバイオマス発電所の建設に積極的なイーレックスという会社を教えてもらう。「渡りに船だ」とすぐに申し込み、4月1日付けでの乗り換えを実現させた。

 乗り換えに際し、不安は全くなかったと森本さん。神奈川県庁や、横浜市役所などが、新電力に乗り換えて、電気代の削減を実施しており、「原発以外の発電だからといって、割高になることはないとわかっていた」からだ。

 またセット割を使えば、おトクになることもあるが、「携帯電話に学割があって安くなりますよね。でも、家族構成って年齢とともに変わってくるので、常に安いところ、安いところを選択しようと難しい」。

 おトクを求める限り、常に煩わしさがつきまとい、2年縛りでスマホを契約していれば、解約期間によっては違約金を取られてしまう。

 割り切ってしまえば、電力選びも気楽にできるのかもしれない。「発電方法にこだわっているとはいえ、電気料金が安くなれば、悪い気はしない」と森本さん。東京電力のシステム不具合で、イーレックスから請求書はまだ届かないが、「どれだけ安くなっているのか、正直、楽しみなところ」。

 森本さんは、「消費するだけじゃなく、電源構成に関心を持った方がいい」と話す。「そうじゃないと、節電意識も湧いてこないし、結果として高い電気代を支払うことになりますから」。

 イーレックスに乗り換えたことで、森本家の節電はますます磨きがかかるだろう。

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