1月19日に開催された「調達価格等算定委員会」、風力発電のFIT価格をめぐる議論が終盤を迎えた。
その席上、12万kW、6,400件(17年3月末時点)のFIT認定に対し、5,400kW、339件(17年9月末時点)の導入に止まる20kW未満の小型風力に、18年度から大型風力と買取り区分を一体化させ、FIT価格の大幅引き下げ案が浮上したのだ。
小型風力は、17年度までFIT価格55円/kWhが維持されるも、認定量と導入量の乖離が指摘され、18年度以降のFIT価格のゆくえが注目されていた。
議論の最中、「コストデータは想定値どおりで低減傾向にない」「10円台〜30円/kWhで推移する海外と比較しても、日本は買取り価格も発電コストも高止まりしている」と次々に指摘。
しかも、設備利用率が7.6%(中央値)と想定した16.7%と比べて「著しく低い」。「実績の設備利用率をもとに、投資回収可能なFIT価格を算出すると120円程度になる」と批判が相次ぐ。
結局、「FIT制度からの自立化は困難だ」とされ、「55円という高価格で新規認定をし続けることは適当ではない」「20kW以上の陸上風力と買取り区分を一体化させる」方針が示される。
委員からの反論はなく、20kW未満の買取り区分は廃止される公算が高い。18年度から適用されれば、小型風力のFIT価格は20円/kWhまで大幅減額される見込みだ。
一方、20kW以上の陸上風力は、19年度のFIT価格19円と規定済みであり、20年度の価格が議論される。
まず資本費だが、28.3万円/kW(中央値)で推移。19年度の想定値とした28.2万円とほぼ同水準であるため、20年度も28.2万円が維持される模様だ。
また運転維持費も0.91万円/kWと、0.93万円(19年度)の想定値とほぼ同水準で推移。その一方、系統接続コストの増加が指摘された接続費だったが、1.0万円/kWの想定値と比較しても横ばい傾向が続くと、運転維持費、接続費用いずれも想定値の据え置きが濃厚となった。
ところが、設備利用率は直近(11年〜17年)の実績が中央値で26.8%となり、17年度の想定値、24.8%を上回る。ただし、風況などの気象条件によって変動する稼働率を鑑み、17年度26.8%、16年度24.8%、15年度25.1%の平均値25.6%を採用する方向で最終調整に入った。
仮に、設備利用率が25.6%になると、19円の算定基準となった24.8%より0.8ポイント上昇することになる。マーケットでは「1ポイント稼働率が増加すると1円から2円、FIT価格の引き下げ効果がある」とされており、20kW以上の陸上風力は、20年度のFIT価格が17〜18円になる可能性が出てきた。